マーケティングではカスタマージャーニーと呼ばれる考え方を取り入れている企業が多いです。
成果の改善に役立つと言われていますが、具体的に何の役に立つのか、どのように取り入れられるのか、よく分かっていない方は少なくないでしょう。
今回はカスタマージャーニーの目的やメリット、取り入れるポイントなどについてご紹介していきます。
カスタマージャーニーとは?

顧客の考え・行動が把握できるカスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、簡単に説明すると顧客が商品やサービス、ブランドを認知することから、購入・登録に至るまでのプロセスです。
プロセスをパターン化しマップという形で可視化することで、顧客の考えや行動を把握し、適切なマーケティング施策を打ち出せるようになります。
以前はテレビや雑誌、新聞でペルソナを設定していたと思いますが、近年の顧客は多数のチャンネルを転々として情報収集や購入行動を起こしており、顧客の考えや行動を把握する難易度が高まりました。
一方で、技術の進歩で取得や分析が可能となった情報の量と質が増えたことにより、顧客の動きを高精度で可視化できるようになっています。
マーケティング自動化ツールやアドテクノロジーも進歩しているので、チャンネルを転々とする顧客にも施策を打ち出せる環境が整いました。
そのため、カスタマージャーニーをマーケティング施策に取り入れることは、成果を改善する上で必要とされる考え方です。
カスタマージャーニーをマーケティングに取り入れるメリット
カスタマージャーニーを取り入れることで、次のメリットを得られます。
・顧客の理解を深められる
Webサイトやアプリの行動ログ、アンケート調査などから顧客の動きの片端は把握できますが、全体的な把握は困難です。
カスタマージャーニーは時系列で顧客の考えや感情、行動を可視化するので、顧客への理解をより深めることができます。
・顧客目線のマーケティングができるようになる
認知から行動を起こすまでのプロセスの可視化により、顧客目線のマーケティングを施策できるようになります。
行動を把握せずに施策を取っても成果は出ず、逆に敬遠される恐れがあるでしょう。
本来のマーケティングの役割分担は機能別になることがほとんどで、施策は自分の役割から打ち出される傾向があり、顧客目線になっていないことが多いです。
顧客目線のマーケティングに転向するきっかけにカスタマージャーニーが役立ちます。
・認識の統一が図れる
施策の立案や検討が円滑に行かない理由は、マーケティング部門内や営業・サポート・開発など関係者と認識のずれが生じていると考えられます。
カスタマージャーニーで顧客行動を可視化することで、組織全体で共通認識を持てるようになるので、精度の高い施策の立案や検討が円滑に行えるようになるでしょう。
カスタマージャーニーを作成するには?

ペルソナと目的を明確にしておく
カスタマージャーニーを作成する際は、初めにペルソナと目的をはっきりさせておく必要があります。
ペルソナとは、自社商品やサービスを利用するモデルであり、マーケティングではペルソナのニーズに応えて商品やサービスが設計されています。
目的がはっきりすることで、ペルソナの人物像も描きやすくなります。
ペルソナの設定では性別や年齢だけではなく、勤務先や業種、収入、居住地、家族構成、人物の状態や抱える課題、どうしたいのか、情報源はどこなのかなど細かく設定していきましょう。
目的とは、作成するカスタマージャーニーの終着点のことです。
問い合わせを増やすことが目的なのか、購入やリピートが目的なのかなど、どこまでが施策の範囲なのか決めてください。
フレームの設定を行う
次に情報の収集やマップに落とし込むためにフレームの設定を行っていきます。
項目を横軸と縦軸に分けて、フレームシートを作っていきましょう。
横軸には、認知や興味・関心、比較検討、購入といった行動プロセスを置いていきます。
縦軸はタッチポイントや顧客の行動、思考・感情、課題、施策といった項目を置いていきましょう。
ユーザー調査を行う
次にアクセス解析ツールやユーザーインタビューなどを使って顧客の情報を取得していきます。
主に行う調査は、顧客がチャンネルと接触した時間帯や時期、接触から購入までの期間、接触の経路、見た広告・LPなど色々な視点から顧客の実態を把握していきましょう。
調査結果をマップに落とし込む
調査が完了したら、今度は設定したフレームに合わせて情報を下にマッピングしていきます。
マッピングは箇条書きやイラストなどを使い、簡略的な描き方で構いません。
まずはマップに直接落とし込む前に付箋などの情報を描き、それを貼ってマッピングすると良いでしょう。
顧客の考えや行動をストーリーにする
マッピングが終わったら、次に顧客の考えや行動をストーリー化させていきます。
問題点やアイデアなどを組分けしながら情報を整理していき、ゴール地点(目的)に戸津立するまでの流れに考えや行動を結び付けてください。
ストーリーが思い浮かんできたら、箇条書きやイラストで簡易的にマップへスケッチしていきましょう。
カスタマージャーニーは見た人が直感的に分かるマップが望ましいので、箇条書きやイラストで簡易的にすると良いです。
カスタマージャーニーを作成する上で注意したいポイント

各部署のメンバーを集めて作成する
カスタマージャーニーを作成する際は、経営層やマーケッター、営業部、カスタマーサポート、製品開発部、エンジニア、外部パートナーなど各部署のメンバーを集めましょう。
様々な視点から問題点の洗い出しやアイデア出しが可能となるので、より高精度なカスタマージャーニーを作成できます。
情報や課題、認識の共有への意識も高まるでしょう。
企業の独りよがりにならないようにする
カスタマージャーニーは顧客目線の施策を打ち出すために作成するものなので、企業の独りよがりにならないように気を付けてください。
企業の独りよがりな施策になってしまう原因には、ユーザーの情報収集不足にあると考えます。
しっかり情報収集を行い、顧客の思考や行動を理解した上でマップに落とし込んでいくようにしましょう。
カスタマージャーニーの作成がゴールではないことを理解する
カスタマージャーニーではゴール地点となる目的を設定しますが、それで施策のゴールというわけではありません。
実際にカスタマージャーニーを元に施策を講じてみると、想定外の課題や問題に直面するケースも多いです。
カスタマージャーニーは一度作成して終わりではなく、繰り返し情報収集や分析の追加により更新できます。
マップを見直しして、常に施策をバージョンアップできるように工夫することが大切です。
まずは一度作ってみる
難しそうという理由でカスタマージャーニーの作成を避けていた方は少なくないでしょう。
顧客の行動や考えの理解を得られないと、どんなに施策を立てても成果の改善にはつながりません。
現状を変えたいのであれば、カスタマージャーニーを一度作ってみることから始めてみましょう。
カスタマージャーニーは始めから細かく作っていく必要はありません。
一度作ってみることで、自分達では把握しきれなかった部分が明らかになり、課題を洗い出せるようになります。
いきなり高度なものを作ろうとはせずに、ブラッシュアップしていく形でシンプルなマップを作ることから始めてみてください。
まとめ
カスタマージャーニーはマーケティングを顧客視点に再構築させていくための手段となります。
今の施策で成果が上がらないというのであれば、顧客視線ではなく企業視線での施策となっている可能性が高いです。
ぼんやりとニーズや課題は分かっていても、曖昧な状態では正確な施策を講じることはできません。
効果的なマーケティング施策を立てるためにも、カスタマージャーニーを取り入れることをおすすめします。
そして、作成したカスタマージャーニーをブラッシュアップしていき、見直しを繰り返してマーケティングの成果を改善していきましょう。