好きな芸能人の熱愛が発覚した時、相手の名前が伏せられていると気になって知りたくなった経験はありませんか?
ダメと言われたらかえってやりたくなってしまう心理効果を、「カリギュラ効果」と呼びます。
カリギュラ効果は心理学テクニックの1つで、マーケティングにも活用できるのです。
今回は、カリギュラ効果の特徴や実験例、ビジネスにおける活用法などをご紹介しましょう。
どのように活用すれば良いのか分からないという方や、活用する際に気を付けるべきポイントを知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カリギュラ効果とは?

カリギュラ効果の意味と由来
たとえ興味がなかったとしても、「見ないでください」「禁止」などと書かれたものがあったとしたら、なぜ見てはいけないのか気になってしまうでしょう。
また、ダメと言われるとついやりたくなってしまったり、興味が沸いたりする人は多いです。
カリギュラ効果とは、禁止された途端にやりたくなってしまう心理効果のことを言います。
元々カリギュラ効果は、1980年にアメリカとイタリアで合作した映画「カリギュラ」が語源です。
映画の内容はハードコア・ポルノだったにも関わらず、当初はローマ帝国皇帝が実の妹を愛人とし、草刈り機で人殺しをするような皇帝を描いたものとされていました。
アメリカ映画協会を通さずに興行されたため上映が禁止された作品でもありましたが、禁止されたために余計に人々の注目を浴びてしまったのです。
最終的に、ハードコア・ポルノだと分かると人々の興味は薄れていきました。
カリギュラの結末から、衝動に駆られてつい見てしまいたくなる・やってしまいたくなると言った心理効果をカリギュラの効果と呼ぶようになったと言われています。
カリギュラ効果を基にした実験例
禁止されるとむしろやってしまいたくなるカリギュラ効果は、3歳~5歳までの幼児を対象とした実験も行われています。
実験では、5種類のおもちゃを幼児に与えて順位付けさせ、2番目に好きなおもちゃで遊ぶことを禁止するというものでした。
1度禁止を取り消して自由に遊ばせると、ほとんどの子が2番目に好きなおもちゃを手に取り遊び始めたのです。
禁止されたことで強い興味を抱いたというのは、カリギュラ効果によるものでしょう。
実験によって人間は幼児の頃からカリギュラ効果の影響を受けてしまうことが分かったのです。
カリギュラ効果の根本である「心理的リアクタンス」とは?

心理的リアクタンスの意味
心理リアクタンスは、自由を制限されたことでその状況に抵抗したくなる心理を指します。
例えば、部屋の片付けを始めようと思った時に、家族から「片付けなさい」と言われたら、やる気をなくしてしまうという人もいるでしょう。
やる気になったのに、「〇〇しなさい」「〇〇しろ」と言われた途端やりたくなくなるのは、心理的リアクタンスによるものです。
つまり、カリギュラ効果で何かを禁止された時に反抗してしまうことを心理的リアクタンスと呼びます。
心理的リアクタンスを解消したい欲求が様々な心理効果につながる
男性は、女性の体に魅力を感じる人が多いでしょう。
しかし、あまりにも露出している女性には興味がないと思う男性も多いです。
心理的リアクタンスを解消したい欲求を上手くコントロールできれば、様々な心理効果につながります。
心理的リアクタンスを解消する心理効果として、ブーメラン効果やロミオとジュリエット効果と呼ばれるものがあります。
ブーメラン効果は説得されることで反発したくなる心理効果で、ロミオとジュリエット効果は障害があっても目的達成のために努力する心理効果です。
ビジネスに活用する場合、心理的リアクタンスを解消したい人々の欲求を踏まえ、「やりたくなる」と消費者を誘導する必要があるでしょう。
ビジネス・マーケティングでカリギュラ効果を活用

コピーライティングにおけるカリギュラ効果
コピーライティングにカリギュラ効果を活用する場合は、禁止や秘密といった表現が効果的です。
例えば、「お得が嫌いな方は来場禁止です」「メインディッシュは来店してからのお楽しみ」などと記載されていると、お得感やメニューを明かさないグルメに興味が沸きます。
カリギュラ効果のないコピーライティングとは、「ぜひお試しください。今だけ初回キャンペーン中でお得です。」というように、消費者に購入を促すだけの文章です。
しかし、カリギュラ効果を取り入れた文章に変えると、「興味本位程度ならご遠慮ください。本当に〇〇を求めている方の注文をお待ちしています。」となります。
カリギュラ効果を取り入れるとお願いする文章ではなくなり、購入はあくまでも自分の意志で判断してほしいと思わせる表現になるのです。
「限定」にカリギュラ効果が働く
数量限定・期間限定といった表現は全ての人々を対象にするのではなく、限られた方にしか手にすることができないという意味が込められています。
「今しか買えない」と思ってつい手が伸びてしまったという経験を持つ人もいるでしょう。
誰もが入手できる状況ではなく入手困難になりかねない状況にすることで、購買意欲を刺激させるのです。
カリギュラ効果を活かすヒント
禁止を解く条件は軽めにしなければいけない
禁止にするとは言え、誰もが乗り越えられないような禁止は避けなければなりません。
例えば、「品切れ状態で、注文しても届けるまでに半年以上かかる」と言われるよりも、「数量限定なので、本当に必要としている方だけに注文してほしい」と言われた方が、購入する気になるのではないでしょうか?
消費者の買う気が失われてしまっては意味がありません。
簡単に乗り越えられるような条件にして、購買意欲を刺激させることが大切です。
禁止理由を明確にしておく
企業は、消費者に対し禁止にする理由が何なのかをしっかりと伝える必要があります。
どのような商品・サービスでも、ただ単純に「禁止」といった表現をするのでは不十分です。
理由もなく禁止にすれば、信憑性がなくなり購入を躊躇ってしまう方が出てきます。
説得力を持たせるためにも、カリギュラ効果を取り入れる場合には理由や説明を加えるようにしましょう。
テストマーケティングを取り入れる
カリギュラ効果は、特徴や意味を理解して正しく活用しなければ逆効果になってしまう可能性があります。
例えば、「購入禁止」「申し込み禁止」などはっきりと記載されていれば、本当に購入を止める方が出てくるだけでなく、強気な言い方や傲慢さを敬遠して遠ざかってしまう人もいるのです。
正しく活用できれば、カリギュラ効果は商品・サービスの売上向上につながります。
カリギュラ効果をより効果的なものにするためにも、テストマーケティングをして消費者の好奇心を抱かせ、購買意欲を刺激するキャッチコピーやライティングをする必要があるでしょう。
まとめ
ビジネスの中に「禁止」や「〇〇しないでください」などと表現すれば、簡単にカリギュラ効果を取り入れることができます。
禁止されたり隠されたりするとかえって気になってしまうカリギュラ効果は、様々な場で活用できる心理効果です。
すぐに活用できる行動心理学を探している方は、カリギュラ効果を実践して消費者の好奇心や興味を抱かせて売上アップにつなげてみてはいかがでしょうか?