ベビーフェイス効果は主に顔の特徴から人に安心感や親しみを与えられる心理現象です。
誰にでも本能的に備わっている現象ですが、活用次第ではビジネスに取り入れることができます。
マーケティングや営業ではどんな効果に期待できるのでしょうか?
ベビーフェイス効果の特徴やビジネスで使うポイントをご紹介していきます。
ビジネスシーン、特にマーケティングで心理学を取り入れたいと考えている方は多いでしょう。
心理学の中に「ベビーフェイス効果」と呼ばれる顔の特徴を生かしたものがありますが、ビジネスシーンではどんな効果に期待できるのでしょうか?
ベビーフェイスを上手く活用すれば、マーケティングや営業で良い効果を発揮してくれる可能性があります。
今回はベビーフェイス効果の特徴やビジネスでの活用ポイントをご紹介しましょう。
目次
ベビーフェイス効果の特徴と意味

ベビーフェイス効果とは?
ベビーフェイス効果はそのまま訳すと「赤ちゃんの顔」です。
赤ちゃんを見た時、親近感や安心感を感じることがあると思いますが、それがベビーフェイス効果であり、人間が本能的に持っている心理現象です。
赤ちゃんだけではなく、赤ちゃんに似た顔の特徴を持つ大人でも同様に効果が発揮されます。
一般的に赤ちゃんの顔の特徴は丸みのあるフェイスラインと鼻、大きな目、明るい肌と髪、弾力のある頬などです。
大人でもいわゆる童顔の人は若く見られるだけではなく、無邪気や純粋といったイメージが強くなり、ベビーフェイス効果が発揮されて親しみや好感を持たれやすくなります。
ハロー効果に分類される
人の印象により発揮される心理学には、「ハロー効果」というものがあります。
ハロー効果は個人が持つ希少性のある特徴に引っ張られる形で、他の部分でも同様に高い評価を得る心理現象です。
例えば、有名な大学を卒業している人であれば、その学歴から仕事ができる優秀な人材と評価される可能性があるでしょう。
容姿端麗な人物であれば、性格が良い、頭が良いなど外見から良い方向へ評価される傾向があります。
ベビーフェイス効果は童顔に限定されるものの、顔の特徴から認知バイアスを引き起こす現象なので、ハロー効果に分類されているのです。
ゆるキャラでもベビーフェイス効果を活用できる
ベビーフェイス効果は何も人間だけではなく、地域や企業のマスコットとなるゆるキャラにも活用できます。
ゆるキャラは人々に親しみを持ってもらえるようなデザインが一般的で、丸みや大きな目、小さな鼻、明るい色をデザインに採用するケースが多いです。
赤ちゃんの特徴にも近いデザインが取り込まれることで、ベビーフェイス効果が発揮されてキャラクターに親しみや安心感が生まれやすくなります。
子猫や子犬など愛らしい動物も同様の心理が働くので、動物をモチーフにしたゆるキャラが親しまれやすいのもベビーフェイス効果によるものと言えるでしょう。
なぜ赤ちゃんがマーケティングに活用できるのか?

ベイビースキーマで攻撃面が抑制される
ベイビースキーマとは動物学者のコンラート・ローレンツが提唱する、人間や動物の子どもにある身体的な特徴のことです。
大きな目や丸顔などベイビースキーマを持つ生物や模型は可愛い印象を与え、周囲からの攻撃を抑制できるとローレンツ氏は論文で発表しています。
また、ベイビースキーマへの反応は遺伝的なものとしており、子どもや動物の赤ちゃんを見ると「可愛い」「守りたい」と感じてしまうのは本能的なものなのです。
人間は見ず知らずのものに対して警戒心を持ち、攻撃的な姿勢になってしまう傾向があります。
ベイビースキーマの特徴を取り込むことで攻撃面を抑制でき、効果的なマーケティングが行えるようになるのです。
人に安心・信頼感を与えられる
ベイビースキーマの特徴により攻撃面を抑えられれば、人に安心や信頼感を与えることにつながります。
マーケティングにおいて消費者の安心や信頼感を得ることは非常に重要です。
どんなに優れた商品やサービスであっても、不安や不信感が拭えなければ売れません。
広告やCMにベイビースキーマの要素を取り入れることで、親しみを感じやすくなり、結果的に商品やサービスに対する安心や信頼感のアップにつながるわけです。
マーケティングで活用する際のポイント

テレビや新聞、雑誌広告が有効
マーケティングでベビーフェイスを活用する場合はテレビや新聞、雑誌などの広告で活用してみましょう。
商品・サービスの広告やCMでは、イメージキャラクターやCMキャラクターが起用されています。
例えば、マスコットキャラがいれば、攻撃性を持たない可愛い印象のキャラクターを起用して宣伝すると良いでしょう。
アイドルや芸能人を起用する場合は、世間からの高感度が高い人を選ぶとベビーフェイス効果が発揮されやすく、広告やCMに対して親しみをもたれやすくなります。
笑顔の画像・映像を選ぶ
ベビーフェイス効果は見た目の可愛さ以外にも、行動や言動での可愛さでも心理が大きく働く性質を持ちます。
広告やCMで活用する際は、笑顔の写真や映像を採用してみましょう。
赤ちゃんは顔だけではなく可愛らしい笑顔も特徴の1つなので、笑顔にもベビーフェイス効果があります。
無表情の人と笑顔の人の写真を比較した場合、安心感を与えられるのは笑顔の人の写真ではありませんか?
一般的にベビーフェイス効果は男性よりも女性の方が強く効果が出るとされており、マーケティングでは女性が起用されるケースが多いです。
ただし、男性向け商品であれば女性よりも男性を起用した方がいいケースもあります。
ベビーフェイスに近い女性を起用できないケースを踏まえると、広告やCMでは笑顔の写真や映像を起用すると好印象を持たれやすくなるのです。
営業で活用する際のポイント
名刺やアイコンに活用してみる
営業では名刺を出すことがありますが、名刺にベビーフェイス効果を取り入れてみると良いでしょう。
例えば、笑顔の自分の顔写真を載せたり、自分をキャラクター化して載せたりすることで、柔らかい雰囲気の名刺になります。
文字だけの固い印象の名刺に比べて親しみやすく、名刺を受け取った人も安心して話を聞いたり、質問したりしやすくなります。
また、最近はチャットでの問い合わせに対応したサービスも増えてきました。
チャットではアイコンが表示されますが、そのアイコンにもベビーフェイスを取り入れてみましょう。
アイコンを工夫するだけでも問い合わせへのハードルが下がり、消費者は知りたいことを気軽に問いかけられるようになります。
吊り橋効果でドキドキさせ、ベビーフェイス効果で安心させる
ベビーフェイス効果を営業で取り入れる場合、吊り橋効果と併用すると効果を高められます。
吊り橋効果とは男女が恐怖や不安な体験を一緒にした時、その時のドキドキを恋愛感情と勘違いしてしまう心理現象です。
恋愛の心理学の定番ですが、実はビジネスでも活用できます。
ビジネスにおける吊り橋効果とは、消費者が抱える危険や不安を一緒に乗り越え、関係を強化するというものです。
例えば、営業では消費者の悩みに基づいて、悩みや課題を解決できる提案やアドバイスをしていく必要があります。
消費者に対して一緒に物事を考える姿勢を見せることで、相手は親近感は抱き、信頼関係が構築されるようになるのです。
ニーズにあった商品を紹介する際は先方が得られる利益や価値を伝えつつ、開発の苦労など体験談を話すと良いでしょう。
開発の苦心を共有することで吊り橋効果が発揮され、より親近感を持ってもらいやすくなります。
さらに関係性の強化において、安心感を与えるベビーフェイスは役立ちます。
常に笑顔でいることを心がけるだけでも相手に安心感を与えられるので、商談を円滑に進められるようになるでしょう。
ただし、吊り橋効果は長続きしない傾向にあります。
長期的に効果を持続させるためには長期的に共通の課題や目標などを定め、相手へ一緒に課題解決に取り組む姿勢を見せるようにしましょう。
まとめ
ベビーフェイス効果は赤ちゃんの顔に似た特徴を活かし、見た人に安心感を与えられる心理現象です。
見た人に親近感や信頼感を与えられるので、広告やCM、営業に取り入れれば新規顧客の獲得や売上のアップなどの効果に期待できます。
ただし、何でもかんでも取り入れれば良いというわけではありません。
売りたいターゲットや消費者の興味、テーマなど目的を明確にした上で、ベビーフェイス効果が有効なのか考えて取り入れるようにしましょう。